2026年7月24日、RevenueCatが主催する世界規模のモバイルアプリハッカソン「Shipaton 2026」のプレス向け説明会に参加しました。
説明会では、Shipatonの開催概要や参加者への支援内容に加え、AIを活用して個人で事業を立ち上げる「AIソロプレナー」や、AI駆動開発の最前線について講演が行われました。AIの進化により、専門的な開発経験や大規模なチームがなくても、個人がアイデアをアプリとして形にできる環境が整いつつあります。
誰もが開発者になれる時代において、従来のプログラミングスキルはどのような意味を持つのでしょうか。本記事では、Shipaton 2026の説明会で語られた内容を紹介するとともに、AI時代のアプリ開発において開発者に求められる役割の変化を考察します。
この記事の内容
- 世界最大級のモバイルアプリハッカソン「Shipaton 2026」の概要
- AIを活用して個人で事業をつくる「AIソロプレナー」の可能性
- 複数のAIを連携させるAI駆動開発の最新動向
- アプリ公開後のグロースやマーケティングが重要になる理由
- AI時代に開発者へ求められる役割と、セキュリティを含む今後の課題
Shipaton 2026のプレス向け説明会に行ってきました!
7月24日、東京・渋谷の渋谷ソラスタコンファレンスで開催されたShipaton 2026のプレス向け説明会に参加してきました。当日はメディア関係者だけでなく、Shipatonへの参加を予定している開発者やアンバサダーも集まり、会場はイベントの開幕前から活気に包まれていました。
なぜ私がこのような大きなイベントを取材できたのかというと、本イベントのPR事務局が、以前参加したGrafanaの説明会と同じ会社だったようです。ありがたいことに、今回もお声がけいただき、二度目のご縁につながりました。
Grafanaの取材では、突然届いた案内に「なぜ私!?」「本当に参加していいの!?」とビビり散らかしていたものです。しかし今回は2回目の取材であり、前回の経験を記事として形にした実績もあったため、それほど身構えずに参加できました。成長!!

- Shipaton 2026の概要と開催背景:RevenueCat日本事業責任者・上田善行氏による講演
- AIソロプレナーの時代:Arty Intelligence Lab代表取締役・橋口剛氏による講演
- AI駆動開発最前線:AI駆動開発勉強会主催・鈴木章太郎氏による講演
- 集合写真撮影
- 質疑応答
これまでにも、CodeZineなどで提供された音源をもとに技術カンファレンスの記事を書いた経験はありました。ただし今回は初めて、自分で会場に足を運び、登壇者の話を聞き、その場の空気を感じたうえで本記事を書いています。
取材に参加し、得た情報や自分なりの考察を一つの記事として形にする。この一連の経験は、ライターとしての大きな一歩になりました。同時に、「自分も取材記事を書けるのだ」という自信にもつながったと感じています。
世界最大級のモバイルアプリハッカソン「Shipaton 2026」とは――上田善行氏の発表
最初に登壇したのは、RevenueCat日本事業責任者の上田善行さんです。Shipaton 2026の概要や開催背景、日本での取り組みについて説明がありました。

Shipatonは、米国のテックスタートアップであるRevenueCatが主催する、世界最大級のモバイルアプリハッカソンです。RevenueCatは「アプリ開発者がもっと稼げるようにする」というミッションを掲げ、アプリ内課金やサブスクリプションなどの収益化を支援するプラットフォームを提供しています。
講演の冒頭では、音楽を含めてすべてAIで生成されたShipatonのキャンペーン動画も上映されました。AIで制作されたとは思えないほど完成度が高く、アプリ開発だけでなく、広告やマーケティングの領域にもAI活用が広がっていることを感じさせる映像でした。
- 主催:RevenueCat
- 開催期間:2026年8月1日~9月30日
- 開催形式:完全オンライン
- 参加資格:不問
- 参加費:無料
- 参加方法:期間中に新しいモバイルアプリをストアへ公開
- 対象ストア:App Store、Google Play、Samsung Galaxy Store
- 収益化条件:サブスクリプションやポイント課金などの機能を実装
- アプリの言語:英語UIを前提とし、世界のユーザーに向けて公開
- 申請数:1人で複数のアプリを申請可能
- 優勝賞金:約1,600万円
- 賞金総額:約1億6,000万円
- 特典:ベンチャーキャピタルによる投資機会、ニューヨークでの表彰式、タイムズスクエアへの広告掲載、AI開発ツールの無料・割引クレジットなど
一般的なハッカソンは、特定の会場に集まり、1~2日程度で開発した成果物を発表する形式が中心です。一方、Shipatonは、2か月の期間内にアプリを実際のストアへ公開し、ユーザーに利用してもらいながら成果を競います。
評価対象となるのも、アプリを作ったという事実だけではありません。売上や成長性を競う「Build & Grow賞」のほか、デザイン、新規性、社会的意義、開発過程の発信など、10の受賞カテゴリーが設けられています。2026年からは、学生や未成年者が参加しやすい「Next Gen賞」も新設されました。
昨年は5万人が参加し、800以上のアプリが誕生
2025年のShipatonには、世界中から約5万人が参加し、800以上の新しいアプリが公開されました。これらのアプリが生み出した売上は、講演時点で合計約10億円を超えているそうです。
グランドプライズを獲得した「Payout」は、集団訴訟をテーマに個人で開発されたアプリです。約2週間で開発され、公開から2か月以内に約500万円、4か月後には月間約1,300万円の売上を達成しました。
ほかにも、数百万ダウンロードを記録したアプリや、Apple Design Awardsのファイナリストに選ばれた作品が生まれています。Shipatonは単に賞金を競うイベントではなく、個人開発者が事業を立ち上げるきっかけにもなっているのです。
2026年は世界全体で10万人の参加が予想されています。日本では、前年の参加者が約250人だったのに対し、開幕前の事前登録者だけですでに1,300人を突破。そのうち約半数を大学生や高専生などの学生が占めていると紹介されました。
完成を待たず、まず公開して改善する
Shipatonで特に印象に残ったのが、一度公開したアプリを期間中に何度バージョンアップしてもよいというルールです。
最初から完成度の高いアプリを作る必要はありません。まずは早い段階でストアへ公開し、実際のユーザーからフィードバックを集めながら、機能を追加していく進め方が推奨されています。昨年の入賞者も、最初に公開したバージョンのまま評価されたわけではなく、2か月間に何度も改善を重ねていたそうです。
2026年は、前年以上にAI開発ツールの性能が向上しています。AIを使って開発と改善のサイクルを高速化できるため、「小さく公開し、反応を見ながら育てる」というアプローチを実践しやすくなりました。
完成品を作ってから世に出すのではなく、まず公開し、ユーザーと一緒に完成度を高めていく。Shipatonは、AI時代のアプリ開発や事業づくりを体験できるイベントともいえるでしょう。
「日本から世界に挑戦する人を増やす」
日本でのShipaton 2026には、「日本から世界に挑戦する人を増やす」という独自のテーマが掲げられています。
日本でも多くのスタートアップが生まれる環境は整いつつありますが、海外市場へ挑戦する企業や個人開発者は、諸外国と比べてまだ少ないと上田さんは指摘します。Shipatonを通じて、個人や小規模なチームが世界市場へアプリを届ける機会を提供したいと語りました。

完全オンラインで開催されるため、東京などの大都市に住んでいなくても参加可能です。RevenueCatは那覇、札幌、神戸、福岡、東京などで事前説明会を開き、全国の開発者や学生に参加を呼びかけてきました。
さらに日本では、カウントダウンパーティーや、国内外で活躍するエンジニア・経営者が登壇するポップアップイベント、未経験者が3時間でモバイルアプリ開発に挑戦する「Builders Weekend」なども予定されています。
AIによって、開発経験や組織の規模にかかわらず、個人が世界へ向けてアプリを公開できる時代が訪れています。Shipaton 2026は、その変化を象徴するイベントだと感じました。
AIによって現実味を増した「AIソロプレナー」という働き方――橋口剛氏の発表
続いて登壇したのは、Arty Intelligence Lab代表取締役の橋口剛さんです。橋口さんは約14年間Google CloudでAIやクラウドサービスの提供に携わった後、2025年に独立。現在はAI導入支援を中心に、複数の事業へ取り組んでいます。

講演のテーマは、生成AIによって個人や少人数でも事業を立ち上げやすくなった「AIソロプレナー」。これまでアプリやSaaSを公開するには、企画、開発、プロダクト管理、マーケティングなど多くの専門人材が必要でした。大規模なアプリでは、数億円規模の費用や数年単位の開発期間がかかることも珍しくありません。
しかし、ChatGPTやClaude Codeなどの生成AIが登場したことで、開発環境は大きく変化しました。簡単なモックであれば、会議中の1~2時間で形にできるほか、プログラミング経験のない人がアプリを開発し、事業化する例も増えています。Shipatonの事前イベントでも、参加者の約6割が非エンジニアだったそうです。
AIが支援するのは開発だけではありません。海外市場の調査、企画の壁打ち、マーケティング戦略の検討、広告素材の作成まで、サービスを「考える」「作る」「売る」工程を広く補助できます。言語の壁も小さくなり、英語版アプリの作成や海外ユーザーとのやり取りも進めやすくなりました。
海外では、個人開発のアプリが月間数千万円規模を売り上げたり、少人数で立ち上げたサービスが短期間で売却されたりする事例も生まれています。ソロプレナーは必ずしも1人で完結する働き方ではなく、AIを活用した小規模チームも含む象徴的な言葉だと説明されました。
橋口さんは、これからの働き方として「AIを積極的に活用する」「複数の収入源を持つ」「世界市場へ挑戦する」「コミュニティやSNSを活用する」という4つの視点を紹介。AIによって個人の生産力が高まる一方、情報や仲間、販売のきっかけを得るために、人とのつながりはますます重要になるといいます。

Shipatonは、アプリを作る技術だけでなく、AIを使って企画から販売までを進め、個人が世界へ挑戦するプロセスを実践できる機会です。橋口さんの講演からは、AIソロプレナーが一部の特別な人だけの働き方ではなく、現実的な選択肢になりつつあることが伝わってきました。
複数のAIをチームとして動かす「AI駆動開発」の最前線――鈴木章太郎氏の発表
続いて登壇したのは、AI駆動開発勉強会を主催する鈴木章太郎さんです。鈴木さんはMicrosoftで約13年間、最新技術を開発者へ届ける啓発活動に携わってきました。約2年半前に立ち上げたAI駆動開発勉強会は、現在約2万3,000人が参加する大規模なコミュニティへ成長しています。

鈴木さんは、現在のアプリ開発を「1人で開発するのではなく、AIと一緒に開発する時代」と表現。開発者自身はプロデューサーとしてアイデアや方向性を決め、複数のAIツールへ役割を割り振りながら、完成までの工程を指揮します。
AIが支援できる範囲は、コードの生成だけではありません。アイデアの整理から仕様策定、設計、UIデザイン、実装、テスト、レビュー、クラウドへの公開まで、開発の一連の流れを連続的に進められます。プログラミング経験が少ない人でも、扱いやすいツールを入り口にし、AIに相談しながら別のツールを組み合わせることで、アプリを形にできるようになりました。
講演では、初心者向けにギターやベースを推薦するモバイルアプリを、約2時間半で作成したデモも紹介されました。自然言語でアイデアを入力した後、AIがユーザーストーリーや受け入れ基準を含む仕様を作成。続いてデータモデルやタスクを整理し、コード生成とテストを進めます。

最初に完成したアプリは簡素なデザインでしたが、別のAIへUIの改善を依頼し、さらに画像生成AIで作成した素材を追加。最後にレビューやクラウドへのデプロイを行い、短時間でモバイルアプリとして動く状態まで仕上げていました。
この開発方法では、プロジェクトマネージャー、デザイナー、エンジニア、レビュアーといった役割を、それぞれ得意なAIへ任せます。重要なのは、一つのツールですべてを完結させるのではなく、目的に応じて複数のAIを組み合わせ、協調させることです。
AI駆動開発によって、アプリを作るスピードは大幅に高まりました。一方で、人間にはアイデアを考え、役割を割り振り、成果物の方向性や品質を判断する役割が残ります。コードを書く人から、AIチームを率いてプロダクトを完成へ導く人へ。鈴木さんの講演からは、開発者に求められる役割が大きく変わり始めていることが伝わってきました。
質疑応答でストア公開と受賞後の事業化について聞いてみた!
講演後の質疑応答では、勇気を出して最初に手を挙げました。こうした場で自分から質問するのは初めてだったため、マイクを持った手はぶるぶる震えていたし、声もめちゃくちゃ震えていましたが、最初に手を挙げて質問できたことはヘタレな私にとっては大きな前進でした。うああー!頑張ったーーー!

一つ目の質問は、アプリをストアへ公開する際のサポートについて。「AIによって開発が効率化され、RevenueCatのSDKによって収益化もしやすくなった一方、App StoreやGoogle Playへの申請は、未経験者にとって大きなハードルになるのではないか」と質問しました。
上田さんによると、ストア公開やRevenueCatの設定方法を解説するコンテンツを準備しており、順次YouTubeなどで公開する予定とのことです。また、従来は画面上で細かな設定を進める必要がありましたが、現在はAIと接続することで、自然言語による設定も可能になりつつあると説明されました。
開発だけでなく、ストア公開の手続きまでAIが支援してくれると知り、正直かなり驚きました。個人がアプリを公開するまでのハードルは、想像以上のスピードで下がっているようです。
二つ目は、「過去の受賞者が、その後どの程度事業化や収益化に成功しているのか」という質問。これに対しては、「正確な人数は集計していないものの、昨年の参加者のうち、アプリから十分な収入を得ている人は二桁に及ぶ」との回答がありました。
優勝者のコナーさんは、受賞作の「Payout」以外にも複数のアプリを運営しており、現在はアプリ事業から大きな収益を得ているそうです。Shipatonはイベント期間だけで終わるコンテストではなく、その後の起業や事業成長につながる可能性を持っていることが分かりました。
ほかの参加者からは、ストア審査に必要な期間や、受賞しやすいアプリの傾向、AIツールの選び方などについて質問がありました。
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ストア審査に必要な期間は?
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ストア審査は早ければ数日で終わるものの、一度で通らない可能性もある。そのため、2か月をすべて開発に費やすのではなく、数日から数週間で最初のバージョンを公開することが重要。昨年は締め切り直前に申請し、審査に間に合わなかった参加者も少なくなかった。
また、上位入賞者ほど早期にアプリを公開し、その後のマーケティングやユーザー獲得に時間を使っていた。公開後は何度でもバージョンアップできるため、最初から完璧を目指すよりも、まず世に出し、ユーザーの反応をもとに改善を重ねる姿勢が求められる。
技術力が高い人ほどアーキテクチャや完成度にこだわり、公開が遅れる場合もあった。アプリの作り方そのものより、ユーザーの課題を知り、企画を検証し、公開後に広める力のほうが重要になりつつある。
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Shipatonで狙い目となるテーマなどはある?
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まったく新しい市場を作る方法だけでなく、既存の大きな市場から対象者を少しずらす「ニッチ&グローバル」という考え方が紹介された。たとえば一般的なダイエット向けフィットネスではなく、痩せている人が筋肉を増やすためのサービスに絞るイメージ。一つの国では小さな需要でも、世界全体を対象にすれば、十分な市場になる可能性がある。
質疑応答の最後に語られたのが、「日本から世界へ挑戦する人を増やすには、マインドセットを変える必要がある」というメッセージでした。
日本人は「英語が話せないから」「海外向けのサービスは難しそうだから」と、挑戦する前に一歩引いてしまいがちです。しかし現在は、アプリの英語化や文章でのやり取りまで、AIが簡単に支援してくれます。必要なのは流暢な英語や完璧なアプリではなく、まず作り、公開し、世界のユーザーから反応を得ながら改善していく姿勢です。
AIによって技術や言語の壁が低くなった今、最後に残る壁は「自分にもできる」と考えられるかどうかなのかもしれません。Shipaton 2026は、日本の開発者や非エンジニアがその壁を越え、世界へ挑戦するためのきっかけになるイベントだと感じました。

Shipaton 2026の説明会で私が感じたこと
ここからは、Shipaton 2026の説明会に参加して、私が考えたことをまとめていきます。AIによってアプリ開発のハードルが下がる一方、開発者に求められる役割や、プロダクトを成長させるための考え方が大きく変わっていることを改めて実感した説明会だったと感じています。
プログラミングが主役の時代は終わりつつある
Shipaton 2026の説明会を通じて強く感じたのは、アプリ開発における「主役」が、プログラミングそのものからプロダクト全体の設計へ移りつつあることです。
AIを使えば、非エンジニアでも短時間で動くアプリを作れるようになりました。一方で、コードを書ける人の価値がなくなるわけではありません。何を作るのかを考え、AIへ適切に指示し、出力されたコードや設計の妥当性を判断するには、技術的な知識や経験が役立ちます。
これからの開発者には、自ら手を動かす力だけでなく、複数のAIをまとめ、プロダクトを完成へ導くプロデューサーのような役割が求められるのでしょう。
同時に、ふと今後のプログラミングは実用のための必須技能というより、趣味や嗜好に近い位置づけへ変わっていくのかなあとも感じました。既製品の服を買えば十分でも、手芸が好きな人は敢えて自分で縫って作る。同じように、AIに任せればアプリを作れる時代になっても、「自分でコードを書きたい」という人が、ものづくりそのものを楽しむ文化として続いていくのかもしれませんね。
開発よりもグロースとマーケティングの比重が高まる
AIによって開発期間が短くなるほど、相対的に重要になるのがグロースとマーケティングです。Shipatonの上位入賞者は、2か月を開発だけに使うのではなく、数週間でアプリを公開し、残りの期間をユーザー獲得や改善に充てているというお話でした。
つまり今って、どれほど優れたアプリでも、存在を知ってもらい、実際に使われ、課金されなければ事業にはならないってことですよね。まず小さく公開し、ユーザーと対話しながら機能を育てる姿勢が重要だという話が印象的でした。
AI時代の開発では、「どう作るか」よりも「誰のどの課題を解決し、どう届けるか」が成否を分けるようになります。開発者にも、市場を理解し、価値を伝える力がこれまで以上に必要だと感じました。
AIソロプレナーに挑戦するなら今がチャンス
説明会で話を聞いてみて、AIソロプレナーに挑戦するなら、環境が整い始めた今は大きなチャンスだと感じます。
AIによって企画、調査、開発、デザイン、翻訳、マーケティングまでを個人で進めやすくなった一方、AIを使った事業づくりの方法は、まだ完全に確立されていません。誰もが同じやり方を理解し、市場が成熟してからでは、競争も激しくなるでしょう。
試行錯誤が許される今だからこそ、小さなアイデアをすぐ形にし、失敗を重ねながら自分なりのAI活用法を見つけられます。大きな資金や組織がなくても世界へ挑戦できるこの時期は、個人にとって貴重な転換点なのかもしれません。
言語の壁より心理的な壁のほうが高い
日本人にとって、海外向けのアプリ開発における大きな参入障壁の一つが英語でした。しかし現在は、UIの翻訳や海外市場の調査、ユーザーとの文章によるやり取りまでAIが支援してくれます。文化や商習慣を理解する努力は必要ですが、「英語が話せないから世界には出せない」という状況ではなくなりつつあります。
それでも海外への挑戦をためらうとすれば、残っているのは技術や言語の壁ではなく、「自分には無理だろう」と考えてしまう心理的な壁なのかもしれません。
ShipatonのTipsとして語られたのが、「完璧な英語や完成度の高いアプリを準備してから挑むのではなく、まず公開して反応を見る」という進め方です。そして、上田さんが強調した「日本人のマインドセットを変革する」という言葉も、非常に力強く響きました。
技術や言語の壁をAIが低くしてくれる今、最後の一歩を踏み出すのは人間自身。このメッセージは、これから世界を目指す日本人開発者の背中を押し、進むべき方向を照らす道標になるように感じました。
AIソロプレナー時代は「作る力」だけでなく「守る力」も必要
奇しくも同じ時期に、日本人2人で開発された人気ゲーム『めっちゃカメレオン』で、悪意のあるModマップを発端とするマルウェア問題が発生したというニュースが飛び込んできました。調査に使用していたテスト用PCが感染し、公式Discordの管理者アカウントも乗っ取られたものの、ゲーム本体への影響はなく、脆弱性はアップデートによって修正されています。
こうしたセキュリティ関連のニュースを見るたびに感じるのは、AIによって少人数でもサービスを開発できるようになった一方で、「作れること」と「安全に運用できること」は別問題だという点です。
個人が短期間でサービスを公開できる時代だからこそ、設計上の脆弱性や外部コンテンツの扱い、認証情報の管理、インシデント発生時の対応まで考える必要があります。開発工程をAIに任せられたとしても、セキュリティ上のリスクを見つけ、被害を防ぐには専門的な知識と経験が欠かせません。
AIソロプレナーが増える時代だからこそ、「作る力」だけでなく「守る力」を持つエンジニアの価値は、むしろ高まっていくのではないでしょうか。誰もが開発者になれる時代には、安全性を支える専門家の存在が、これまで以上に重要になると感じました。
まとめ|ShipatonはAI時代のアプリ開発と働き方を体験する機会
Shipaton 2026の説明会を通じて感じたのは、AIによってアプリ開発のあり方が大きく変わり始めているということです。
複数のAIを組み合わせれば、個人や少人数のチームでも、アイデアの検討から開発、公開、販売まで進められるようになりました。だからこそ、「何を作るか」「誰に届けるか」「どう成長させるか」が、これまで以上に重要になると感じます。
完成度にこだわって公開を遅らせるのではなく、まずは小さく世に出し、ユーザーの反応を見ながら改善を重ねる。AI時代には、開発者にもマーケターやプロデューサーのような視点が、これまで以上に求められるのでしょう。
また、AIによって技術や言語の壁が低くなっても、安全に運用するためのセキュリティ知識や、世界へ挑戦するためのマインドセットは欠かせません。誰もが開発者になれる時代だからこそ、プロダクトを育てる力や守る力を持つ人の価値は、むしろ高まっていくと感じました。
Shipatonは、AIを活用して個人がアイデアを形にし、世界へ届け、事業として成長させるまでの流れを体験できる機会です。AI時代のアプリ開発や働き方に興味を持つ多くの方にとって、Shipaton 2026が新しい一歩を踏み出すきっかけになることを願っています。





